IoT(Internet of Things)という言葉は、今や新聞やテレビ、インターネットなど、あらゆるメディアで当たり前のように目にするようになった。

IoTは、日本語では「モノのインターネット」と言われている。そして、その意味については、「建物、電化製品、自動車、医療機器など、パソコンやサーバーといったコンピューター以外の多種多様な“モノ”がインターネットに接続され、相互に情報をやり取りすること(知恵蔵)」、「あらゆる物がインターネットを通じてつながることによって実現する新たなサービス、ビジネスモデル、またはそれを可能とする要素技術の総称(デジタル大辞泉)」と解説している。

また、オンラインメディアによると、IoTという言葉を最初に使ったのは、1999年にマサチューセッツ工科大学のAutoIDセンサ共同創始者であるケビン・アシュトン氏と言われている。しかし、IoTという言葉が世の中で一般的になったのは2015年頃であった。そして、現在は家電、医療、交通、住宅など、私たちの生活の多くにIoTが関わるようになっており、急速に普及していることがわかる。

製造業にも広がるIoT

こうしたIoTの潮流が、近年、産業分野の世界にも急速に広がっており、IIoT(Industrial Internet of Things)という言葉もメディアで徐々に使用されるようになってきている。IIoTは、日本語で「産業用IoT」、「インダストリアルIoT」などと呼ばれ、「産業機械・装置・システムなどがインターネットを通じてつながることによって実現するサービスやビジネスモデル、またはそれを可能とする技術の総称。製造業の生産効率・安全性の向上、サプライチェーンの最適化などを目的とする(デジタル大辞泉)」と紹介されている。

IoTは、膨大な量のセンサデータを使い、新たなサービス、付加価値を生む技術である。製造業においては、稼働機器の様子を詳細にセンシング、データ解析を行うことで、機器の故障を事前に予知し、故障する直前で部品交換することを可能とする「予兆保全」や、今まで外部とのネットワーク接続が大きく制限されていた工場が、外部の業務システムなどと接続されることで、規格品の大量生産だけではなく特注品の生産もリアルタイムで可能となる「マスカスタマイゼーション」などに活用されている。

現在、世界中の企業がIIoTの技術を活用した生産革新に取り組んでいる。特に、ドイツが提唱する「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」、アメリカが提唱する「インダストリアル・インターネット(Industrial Internet)」が、規格化などの面で大きな主導権を握ったことで、国内に比べると、海外での取り組みが先行している。

日本でのIIoT

日本での取り組みが遅れたひとつの理由として、規格の乱立によるオープン化の遅れが挙げられる。製造業の現場では、PLC(Programmable Logic Controller)と呼ばれるコントローラが、センサやモータを制御することで自動化されている。しかし、日本国内では、PLCとモータ等の間の「フィールドバス」と呼ばれる通信で、メーカー固有の通信規格が乱立しており、機器メーカーごとにつながる機器が制限されている。またPLCのプログラミングも同様で、メーカー依存のプログラミング言語により、利用するPLCのメーカーを変更すると、プログラミング資産が流用できないのが現状となっている。

IIoTは、様々な機器・システムが“つながる”ことで様々な新しいシステム・価値を生み出す。しかし、日本では、その根幹である“つながる”ことに問題を抱えていた。一方、海外では、機器間の通信規格やプログラミング言語をオープン化することで、メーカーに依存せず、簡単につながるシステムを構築することが可能となっている。フィールドバスにはEtherCAT(イーサキャット)やPROFINET(プロフィネット)といったオープン通信を多くのメーカーがサポートしており、PLCのプログラミングでは、IEC 61131-3規格でプログラミング言語の共通言語を策定し、上位システムとの通信ではOPC-UAというオープンな通信規格の利用を推進している。

海外に比べて遅れをとった日本ではあるが、2017年3月、経済産業省が日本版インダストリー4.0ともいえる「コネクテッドインダストリーズ(Connected Industries)」を提唱し、国のプロジェクトとして“様々なつながりにより新たな付加価値が創出される産業社会”の実現を目指すようになった。経済産業省のウェブサイトによると、その中で重点的に政策資源を投入すべき分野は「自動走行・モビリティサービス」、「ものづくり・ロボティクス」、「バイオ・素材」、「プラント・インフラ保安」、「スマートライフ」の5つとしている。また、これまでに蓄積した極めて正確なデータが製造現場にたくさんあり、その部分がIIoTで先行するドイツと対等に渡り合える部分である」と指摘している。

近年では、人工知能(AI)やディープラーニング(深層学習)を活用し、これまで人間の手や目に頼っていた作業をロボットやカメラによって行うことで、工場の自動化や生産性の向上に取り組んでいる企業の事例が、様々なメディアによって紹介されている。また、2018年12月の「IIoT特集」では、日本国際工作機械見本市(JIMTOF)における工作機械業界のIIoTに向けた取り組みや、現状のIIoT実現に向けた課題を紹介した。

「IIoT Times」では、引き続きIIoT(産業用IoT、インダストリアルIoT)の実情や未来、国内外での取り組みや課題について紹介していく。