人手不足の問題は、どの業界においても深刻になっている。人材サービスのエン・ジャパンがまとめた人材不足に関する実態調査によると、約9割の企業が「人材が不足している部門がある」と回答している。

最近は、コンビニエンスストア業界でも人手不足の影響により、これまで当たり前とされていた24時間営業を見直す動きも見え始めている。

製造業においても人手不足の問題は同様であり、以前のIIoT Timesでは、ロボット、IoT、AIなどの先進ツールを広範で活用することによる生産性を向上が、解決の一助となることを取り上げた。

人手不足を解決するには

人手不足を解消するひとつの策としては、外国人労働者の受け入れが考えられる。すでに、多くの外国人労働者が国内の工場で働いているが、先日の経済産業紙では、長野県における外国人依存度の高さを紹介していた。記事によると、外国人の割合がわかる国勢調査(2015年)では、長野県内で最も外国人依存度が高いのが製造業であり、その割合は「31人に1人」であり、特に人手不足が慢性化していると言われている宿泊・飲食サービス(41人に1人)や農業・林業(47人に1人)よりも高い割合を占めている。また、県内の外国人依存度の伸び率は、2009年の「110人に1人」から2017年には「70人に1人」と、1.6倍に増えており、どの業界においても、求人を出しても日本人からの応募は少なく、外国人労働者に頼らざるを得ない状況であるという。

また、記事では、外国人労働者を迎え入れる課題として、労働者の失踪、無資格の実習生への法令違反、より賃金の高い企業への転職などを挙げている。そして、外国人労働者との共生で特に重要なことは、日本語教育であるとしている。長野県では、日常生活に必要な日本語を学べる場の提供や、外国人の会話の相手になったり、外国人との連携役になる「日本語交流員」の育成にも乗り出したと伝えている。

協働ロボットの広がり

単純に人手を確保するということでは、外国人労働者の受け入れはひとつの方法となるが、上記のように問題も多いと言われている。そこで重要となるのが、人手に頼らない業務効率化であり、その代表的な動きがIIoT(インダストリアルIoT/産業用IoT)である。

様々な産業機械やシステムなをインターネットでつなげ、製造業の生産効率・安全性の向上、サプライチェーン最適化などを図るIIoTであるが、すでに世界中の企業がIIoTの技術を活用した生産革新に取り組んでいる。近年では、機械や産業用ロボットに人工知能(AI)を搭載し、これまで人が行ってきた作業を学習させてさらなる効率化を目指す動きも加速している。

こうした動きの中で、製造業だけでなく、多くの業界の人手不足を解消するために期待されているのが「協働ロボット」である。協働ロボットとは、文字通り、“人と共に作業できるロボット”である。産業用ロボットは、自動車や機械など、比較的大きな製造ラインで柵を囲って行う必要があった。そのため、人の作業と分離させなければならず、単純な作業には適していたが、状況に応じて複雑な作業を必要とする場での使用は難しかった。

しかし、技術革新によるロボットの小型化、また、法規制の緩和などにより、柵がなくても人とロボットが共同で作業することが可能となり、人との共同作業を前提とした新たな「協働ロボット」が続々と誕生するようになった。

IT関連のウェブメディアによると、近年の労働力不足により、ロボットが利用できる産業が広がり始めており、部品組み立てや、“三品産業”と呼ばれる食品、化粧品、医薬品などの工場で活用されているという。

大手化粧品会社の資生堂では、粉末化粧品の仕上げ作業にも協働ロボットを導入した。この作業は、仕様書とスポンジ、ファンデーションをワンセットにして製品箱に収めるというものだが、構成材料が多く、材質やサイズが異なり規格化されていないことから機械化が進んでいなかったという。そのため、以前は目視で検査し、透明容器を被せる工程を経て、スポンジや仕様書、仕掛け品の3点セット一式を挿入した。さらに完成品を3個ずつ輸送箱に挿入し、物流レーベルを2種貼付後、オリコンに収めるという工程内容だったという。こうした作業をロボットにより自動化した。目視検査については作業者で行い、続く2つの工程をロボットが担うことで、2018年度の労働生産性は、導入前と比べて1.4倍にまで伸びてきているという。

海外メーカーからの攻勢

富士経済の調査によると、国内の協働ロボット市場は2025年までに2017年の15倍となる1,000億円規模に拡大するとみられている。

こうした動きに呼応するように、協働ロボットの海外大手企業が日本市場で攻勢をかけていると、経済紙は伝えている。世界シェア5割を誇るデンマークの企業が中小企業などの開拓に乗り出すほか、台湾の大手企業も近く日本初の拠点を設立し、日本への本格進出を目指している。

また、記事では、残念ながら協働型ロボットにおける日本勢は影が薄い。日本勢は産業用ロボット全体で約半数のシェア(2016年実績、国際ロボット連盟調べ)を誇るものの「(協働型では)設計者が安全性に対するハードルを自ら高くしてしまっていた」という日本のロボット業界関係者の声を紹介している。

ファナックや川崎重工業では、企業買収による新事業の模索や新たな協働ロボットの開発などで、巻き返しを図っている。製造業にとどまらず、飲食、サービスなど、多くの産業で協働ロボットの需要は高まっている。国内外の企業の競争によって、ロボットのさらなる技術革新に期待したい。