ドローンがますます進化している。ドローン専門のウェブサイト(Drone Agent)によると、ドローンが一般市場に広く普及したのは、2010年にフランスのParrot社が発売した「AR Drone」だと言われている。その後、多くの企業が民間で利用できるドローンを開発し、市場競争が活発になっている。

製造業でのドローン活用

製造業においては、これまでにも工場内の設備点検に利用されており、米フォード・モーター社では、複数のカメラを搭載したカスタムドローンを開発し、従来20名で行っていた作業を2人で行い、時間も12時間かかっていたものが12分に短縮している。また、点検には高所での作業が必要であったが、ドローンで点検することで、従業員の安全面のリスクも緩和されたと、ドローン専門ウェブサイトでは伝えている。

また、独ZFフリードリヒスハーフェン社では、ドイツで初めて工場上空に自動ドローンを飛行させる公式な許可を取得、ドローンによる工場内での輸送を開始した。すでにテスト飛行は完了しており、今後、ドローンが適切に配備されると、工場内の車両交通量の減少や、場内の配送時間の短縮が見込まれている。また、同社では、インダストリー4.0分野における新たな活動のひとつとして、長期的なビジネスを視野に入れ取り組んでいくという。

ドローン利用に向けた企業の取り組み

製造業以外で特に活発な動きを見せているのが物流業界であり、ドローンを使った配送実験が急速に進んでいる。日経産業新聞によると、楽天は、2019年度中にドローンを使った配送サービスを開始し、過疎地などへの定期的な配送を検討している。これが実現すれば、消費者がドローンで荷物を受け取れる国内初のサービスになる。さらに同社では、ITを駆使して無人の自社配送網の構築を目指しているという。

日本郵政は、宅配便「ゆうパック」の将来的な活用として、ドローンを使った輸送実験を行っており、2018年11月には、福島県でドローンを使った荷物輸送を開始。約9Km離れた郵便局間で、業務で使用するチラシなどを運んでいる。従来は、軽トラックで約25分かかっていたものが、15分に短縮できるという。

ヤマトホールディングスは、無人輸送機の開発に取り組んでおり、「空飛ぶトラック」として、2025年までの商用化を目指している。

ANAでは、機体の飛行状況をチェックする補助者を配置せずに海上を輸送する実験を行った。操縦者が見える範囲を超えてドローンを飛ばし、補助者をつけないで海上を横断させた初めてのケースとなり、離島や山間部への物流でドローンの活用が期待されている。

今後の課題

ドローンの利用が広がっている背景には、ドローンに対する国の方針が関係している。日経産業新聞では、2018年9月、国土交通省は航空法に基づく許可・承認の審査要領を改訂し、離島・山間部などの無人地帯では補助者を配置することなく、ドローンの目視外飛行が可能となった。これにより、すでに福島県や大分県などでは複数の事業者による荷物の配送実験が始まっているところ紹介している。また毎日新聞によると、総務省では、老朽化が進むインフラ施設の保守点検にドローンを活用することを自治体に奨励しており、2019年度から2023年度まで、本体や関連機器などの経費の半額を特別交付税で支援する。さらに、点検・修繕記録を管理するデータベースの構築費用の半額を特別交付税で手当てするなど、自治体の財政を圧迫する要因となっているインフラの老朽化に対する更新費の削減のため、ドローンに着目しているという。

ただし、同紙によると、国内における法整備に向けた議論は始まったばかりと言われており、運行に関する安全性の確保、飛行ルートの許可、騒音対策など、ドローンの運用に関する法規制はまだまだ解決すべき課題が多く残っている。

ドローン市場をリードする中国

世界のドローン市場に目を向けると、中心は中国となる。2015年の経済産業省調べによると、ドローン製品の世界シェアは、中国のDJI社が7割と圧倒的な割合を占めているという。

毎日新聞によると、中国国内ではドローンの商業利用が加速し、市場が一気に拡大しているという。特に物流に関しては、山間部や農村に集落が点在しており、トラックなど通常の配送方法では時間とコストがかかりすぎるという問題があった。その解決策のひとつがドローンであり、自動車で未舗装の道を数十分も走らなければならなかったところが、ドローンなら5分で行くことができるようになった。また、農薬散布などに利用する農業用ドローン、インフラ設備点検にもドローンが活躍しているなど、あらゆる分野での浸透が進み、ドローンの製造だけでなく、サービス面でも中国が先行しつつあるという。

さらに同紙では、中国ではドローンの操縦を学ぶ専門学校が各地で誕生するなど、ドローンブームが過熱していると紹介している。中国政府が「ドローン操縦士」を代表的な職業のひとつに追加したことを発表、他に追加されたのは人工知能(AI)技術者、ビックデータ技術者、工業ロボット操作員など、ハイテク産業の核となる職業であり、政府のドローンにかける期待がわかる。

また、2016年の杭州で開かれたG20首脳会議の警備でドローンが利用されるなど、中国全土の警察にも配備されており、国内の治安維持や軍事分野にも広く応用され、海外からの注目を集めている。

ただ、昨今の米中貿易摩擦による影響で、米国は中国政府と関わりが深い中国メーカーの排斥を加速させており、ドローン産業も標的になるリスクは消えないだろうとまとめている。

今後の日本市場

調査会社のインプレスによると、日本国内のドローンビジネスの市場規模は2018年度が931億円を前年比の85%増。2024年度には5,073億円まで拡大する見通しとしている。今後もドローンを活用したビジネスは、成長、拡大を続けていくことになることが予想される。