製造業でのスマートファクトリー化への取り組みが加速しており、各企業のスマートファクトリーに対する取り組みが新聞やウェブメディアで取り上げられている。

スマートファクトリー化に向けた各企業の取り組み

6月5日から7日、東京ビッグサイトでは「スマートファクトリーJapan 2019」が開催され、前年を上回る約4万3000人の来場者が訪れた。経済産業紙やIT系ウェブメディアでは、同展示会に出展した注目の技術やシステムを多数紹介された。

ファナックでは、スマートファクトリーの構築を支援する製造業向けIoT基盤「フィールドシステム」や、同基盤で運用するアプリケーションなどを出展した。このアプリケーションは、ロボットなど約30台の設備の稼働、停止、異常などの状況を時系列で一元管理でき、生産データと組み合わせることで、効率が低い、故障が多いなどの状況を設備ごとに把握し、それらのデータに基づいた改善策を策定できるという。また、自社工場での「フィールドシステム」活用事例や人工知能(AI)機能も披露し、スマートファクトリー構築を支援するツールを紹介した。

金属加工機械メーカーのアマダでは、IoTサービス「V-factory」を中心とした工作機械やサービスを展示し、板金加工における次世代のスマート化を提案した。V-factoryは、金属加工機械の運用・保守の状態をリアルタイムに見える化するWeb アプリケーションと、オプションの保守サービスで構成されており、生産現場での製造を支援するソリューションとして2018年5月から本格展開を開始した。事前のプログラミングによって加工手順や使用金型がナビゲートされるなど、生産効率の向上を支援したり、機械の予防保全や運用改善提案などのサービスを提供し、付加価値の高い生産を実現することを訴求していた。

また、ロボットや物流システムなど、作業効率化や人手不足対策に役立つさまざまな技術やシステムを展示する企業も見られた。

ホクショーでは、上下階の連続搬送向けに、昇降部に樹脂ベルトを採用した垂直コンベヤー「ベルトバーチレーター」を出展。20kgの搬送用としては、業界最速となる1時間当たり3,000個の荷物を運べるという。

オカムラは、倉庫作業を支援するロボットストレージシステム「オートストア」を出展した。このシステムは、グリッド内に格納されたコンテナをつり上げ、入出庫作業場へ搬送するもので、省スペースと省力化に寄与するという。すでに、流通業を中心に20件以上の実績があり、今後はアフターサービス部品の管理など、製造業にも利用していただきたいと、提案の幅を広げると報じている。

IHI物流産業システムは、「AI搭載デパレタイズシステム」を展示、パレットに積まれた段ボールを自動で荷降ろしするシステムにAIを搭載し、認識能力を大幅に高めた。同紙によると、同システムは、異なる形状や大きさの箱物でも対応できるのが強みで、引き合いも多くあるという。

米国スタートアップ企業によるスマートファクトリー化の支援

産業経済紙では、特に、米国における製造業のスマートファクトリーに向けた取り組みとして、スタートアップ企業の技術を生かした生産現場の革新について紹介している。ロボットなどのハードウェアを活用した製造現場のオートメーション化に加え、ソフトウェアを活用した現場のデジタル改革も進んでいるという。

Veo Roboticsは、人間と協働可能な産業用ロボットアームの開発を進めている。コンピュータービジョンや3次元センシングなど、自動運転車にも搭載されているLiDAR技術を活用することで、工場内のあらゆるものをリアルタイムでマッピングすることが可能になる。そのため、作業員とロボットの距離が接近し、危険を察知した際には自動的に作業スピードを遅くしたり、停止したりできるという。すでにファナックをはじめ、大手メーカーと共同開発を進めており、近日中に製品化する予定だという。

Tulipは、エンジニアがコードを記述することなく、製造アプリケーションを迅速に設計、構築、展開することができる「ファクトリーキット」を販売しており、作業指示書の作成や生産状況の把握、機械のモニタリングなど、工場内の生産性を高めるためのアプリを簡易に作成できる。ドラッグ・アンド・ドロップの直感的なインターフェースで、複雑なシステム統合のためのコードを記述することなく、IoT関連の製品や既存のシステムと連携することができるのが特徴となっている。すでに14ヵ国に顧客がおり、スマートファクトリー化を目指す企業への関心が高く、2018年の売上高も大きく伸長しているという。

Drishti Technologiesは、アクションの認識とAIを活用した製造現場の改善プラットフォームを開発中である。これは、アクション認識を活用し、人間の行動をデジタル化(自動的に数値化)するもので、具体的には作業員の行動を撮影した動画から個別の作業を認識し、どのくらい時間をかけたかをリアルタイムで数値化する。そうすることで、現場作業員の生産性の向上に加え、品質管理やトレーサビリティーを大幅に改善できるという。

スマートファクトリー化の実現はいつか

調査会社の富士経済が発表した国内の協働ロボット市場は、2025年までに2017年度の15倍にあたる1,000億円規模に拡大すると予想。また、世界では2025年までに5,900億円に達する見通しであるという。スマートファクトリー化や近年の人材不足の問題を解決するには、産業用ロボットの需要がますます高まっていくと考えられていることがわかる。

ただ、工場の自動化については、まだまだ難しいという見解も出ている。米アマゾンが、現在の技術ではロボットなどが人間の能力にとって代わることは出来ない。注文の処理作業を完全に自動化するのは、少なくともあと10年はかかるとの認識を示したことを報じているメディアもある。

すでに様々な技術、システムがスマートファクトリーの実現に向け導入されているが、大手企業、スタートアップ企業が持つ技術を融合させ、さらなる技術革新を進めることが求められている。