4月4日から6日の3日間にわたり、国内最大のAI専門展示会である「第2回 AI・人工知能 EXPO」が東京ビッグサイトで開催された。展示会場では、ディープラーニングや機械学習、自然言語処理、AIアプリケーションなど、AIに関する最新の技術が紹介されたが、IIoTにAIを組み合わせることで、製造業における業務改善をサポートする仕組みが数多く出展され、AIの実用が本格化していることがうかがえる。

 

IIoTで蓄積されるビッグデータの分析がトータルソリューションとして紹介

 

中でも、IIoTで利用される画像やセンサーデータ等のビッグデータ分析の過程にAIを採用することで、生産設備の保全や製造ラインの異常検出等を予測する仕組みが、多くの企業からトータルソリューションとして展示されていた。

システムインテグレーターのワイ・ディ・シーでは、AIと連携できる製造業に特化したデータ活用プラットフォーム「SONAR AI」を活用して、欠陥画像の分類作業の自動化から、装置の異常や品質不具合の発生予測、そして、AIで検出された結果の製造現場へのフィードバックまでを、トータルソリューションとして提供している。

ネットワンシステムズでは、フィールドネットワークからコントローラ間ネットワーク、情報系ネットワークまでをもつなぐことで、IIoTを実現するトータルソリューションを提供している。そのトータルソリューションを構成する製造ビッグデータ分析ソリューションにAIを採用し、熟練検査員の暗黙知を抽出して五感を形式知化することで、品質管理の自動化などを提案している。

 

AIプラットフォームとサービスプロバイダーとの連携が注目

 

また、サービスプロバイダーがAIプラットフォームに様々な独自のサービスを組み合わせ、ビッグデータの分析を提供している。例えば、ABEJAが提供するAIプラットフォーム「ABEJA PLATFORM」や、製造業向けにAIの受託開発を手がけてきたクロスコンパスが提供する製造業向けAI統合開発環境「M-IX:Manufacturing-IX」などのAIプラットフォームと、サービスプロバイダーとの連携が注目を浴びていた。

マクニカでは、センサの選定からデータの取得、前処理、学習、可視化、推論AIエンジンを活用した分析アルゴリズムの作成と実装、運用までを一気通貫で提供する「製造業向けAIインテグレーションサービス」を紹介している。クロスコンパスの「M-IX:Manufacturing-IX」を組み込んだエッジデバイスが単体で製造ラインの異常動作をリアルタイムで検知するほか、複数の同一機種をフォグコンピューティングでつなぎ、AIがPLCのトルクデータなどを学習し、一括監視することで製造ラインにおける故障の予兆を検出できる。製造ラインの異常検出や予知保全をユースケースとして紹介していた。

AIの採用で、製品の外観検査やロボットアームの動きがさらに高度化、目視検査の限界や人手不足の課題解決をサポート

 

AIを活用した外観検査においても、「Manufacturing-IX」を活用したユースケースが注目されていた。菱洋エレクトロニクスでは、「Manufacturing-IX」と、検査用の照明ではトップシェアというシーシーエス社の照明ノウハウを融合して“より見える”化することで、ルールベースを用いた画像処理検査では識別が困難だった異常検知も可能にする。例えば、従来のAIでは検出できなかったペットボトルの飲み口等の微細な異物や、茶葉の中の異物などを検知する。

 

アプロリンクが出展していた、マシンビジョンに特化したソフトウェアライブラリー「SuaKIT」は、少数の良品・不良品画像で、ディープラーニングがセルフラーニングを行い、新たに与えられた画像から正確かつ迅速に欠陥検出が可能となる。このような、製品の外観検査に用いられるディープラーニングのソフトウェアは、目視検査の限界や人手不足を解消する仕組みとして、数多くの企業から出展されていた。

 

また、ロボットハンドにAIを組み込んで複雑な作業をこなすことができる事例も見られた。安川電機のAIソリューション開発の子会社として設立されたエイアイキューブでは、「Manufacturing-IX」を活用し、ロボットアームの手先につけた2Dカメラで対象物を認識し、その対象物に合わせた多様なつかみ方をAIが自ら学習するという「AIピッキング」を紹介していた。ディープラーニング技術を活用することで、単一のグリッパで多品種のモノのピッキングに対応する。

 

AIの活用を促進させる消費電力削減への取り組みも登場

 

AI活用における電力消費を削減しようという新しい研究内容も展示されていた。半導体エネルギー研究所では、半導体素子の消費電力を少なくすることができる結晶性酸化物半導体を、次世代半導体材料として開発している。これまで電力消費がAI開発の発展を妨げる大きな要因のひとつになっていたことから、同社では、結晶性酸化物半導体の実用化が、「究極の低消費電力」を実現するということで、今後のAIのさらなる発展と普及に大きく貢献するとみている。IIoTのさらなる普及と実用化に向けて今後の動向にも注目したい。