今やドローンから撮影された画像、映像はテレビ、インターネット等で誰もが簡単に見ることができ、IIoT Timesで表現する「エンベデッド・ビジョン」の代表的な製品になっている。

*「エンベデッド・ビジョン」については、下記の記事を参照
エンベデッド・ビジョンの広がり

ドローンの歴史

ドローンは近年に開発された製品と思うかもしれないが、ドローン専門のウェブメディアによると歴史は古く、最初のドローンは第2次世界大戦中の1944年にアメリカ軍が開発した無人航空機と言われている。これはB-17爆撃機を無人機に改造したものであり、高性能炸薬を搭載して突撃することを目的として開発された。しかし、技術的な問題で操縦不能に陥ることが多く、任務には1度も成功しなかったという。

1970年代に入ると、偵察目的のドローンが開発されるようになり、無線機の小型化や電子装置の高性能化が成功し、実用化が進んだ。偵察目的の軍事ドローンが実用化されると、ドローンに関する研究・開発が本格的に始まり、1995年には世界で最も有名な軍事用ドローン「プレデター」の運用が始まった。

このように、以前のドローンは軍事目的のために開発されたものばかりであり、現在のように一般社会に広く普及したのは、2010年にフランスのParrot社が発売した「AR Drone」によるものだと言われている。この製品は、アイフォンをコントローラーとして使用できる簡単な操作性と、撮影した映像をアイフォンで表示させる機能から大きな話題となった。2012年までには数十万個を販売し、多くの人にドローンの様々な産業への利用を促すことにつながった。

その後は、多くの企業が民間で利用できるドローンを開発し、市場競争が激化している。また、ドローンの進化にはスマートフォンの普及と進化が大きく影響している。ドローンに必要不可欠な「加速度センサー」、「ジャイロセンサー」、「GPS」など、小型の高性能センサーがスマホに搭載されているため、スマホの普及に伴い、これらのセンサーが大量に安く製造されたことが、ドローン普及の後押しとなった。

日本での利用

以前の日本におけるドローンの利用は、主に農薬の散布であった。アメリカ航空宇宙協会の調査によると、2002年の全世界のドローン利用のうち、約65%が日本国内での利用であり、そのほとんどが農薬の散布だったの調査結果が出ている。

しかし、近年は農薬散布に限らず「物流」、「監視」、「点検・整備」、「測量」など用途が多角化しており、国内でのドローン市場は年々拡大している。インプレス社の調査によると、ドローンの市場規模は2017年度で前年度比42%増の503億円(推定)であり、2024年には3711億円規模に成長すると見込まれている。


国内のドローンビジネス市場規模の予測(出所:インプレス総合研究所)

一般紙、経済産業紙などのメディアでも、連日、ドローンを利用した事例が紹介されている。最近は特に、日本列島を直撃した自然災害での事例が多く取り上げられており、7月に発生した西日本豪雨では、広島県内3ヵ所での被災地実態調査をドローンによる空撮で行い、被災地の住民と共同で撮影映像を見ながら今後の避難計画立案に役立てることになった。また、被災に見舞われた徳島県那珂町では、大規模災害で道路が寸断された場合に備え、ドローンで救援物資を運ぶ実験を行うという。9月に発生した北海道地震でも、大規模な土砂崩れが起きた厚真町で安否不明者を捜索するため、陸上自衛隊がドローンを使って上空から現場の状況を撮影したことが紹介されている。自衛隊が災害派遣でドローンを使うのは初めてだという。

その他、岐阜県各務原市が岐阜大学の協力により、木曽川にかかる各務原大橋の法定点検にドローンを導入することを発表した。橋の法定点検にドローンが用いられるのは初めての事例であり、点検日程が6日、点検費用が約3000万円削減されるという。

今後のドローン

経済産業省は6月、「空の産業革命に向けたロードマップ2018」を発表し、ドローン技術の社会実装に向けた法律を整備しようとしている。また、国内メーカーによる“空飛ぶ車”の開発を後押ししており、必要な法整備の検討に乗り出す方針も発表しており、日本でドローンを活用した空飛ぶタクシーが登場することがあるかもしれない。

また、ドローンで撮影した画像と地上で測定したデータを組み合わせ、3Dデータを作成する技術開発が進んむなど、あらゆる産業においてドローンによる新たなビジネスが期待されている。