2018年10月、アニメ「鉄腕アトム」型の家庭用ロボットが発売を開始した。このロボットにはAI(人工知能)が搭載され、会話やゲームができる他、インターネットに接続すれば、天気予報やニュースを読み上げることもできる。

近年、AIという言葉を目にする機会が増え、Amazon echoに代表されるように、日常生活の中にもAI機能を搭載した製品が関係してくるようになっている。

AIの歴史

ウェブメディアによると、AI (Artificial Intelligence)という言葉が初めて登場したのは、1956年の米国ダートマス大学で開催された「ダートマス会議」であり、そこで、AIに関する提案書が発表されたという。

コンピュータが登場し、人間を超えるようなAIが誕生すると期待され、次々と新しいアルゴリズムが考案された。この時期は、第1次AIブームと呼ばれており、その特徴は「推論と探索」と言われている。「推論と探索」とはコンピュータがゲームやパズルを解いたり、迷路のゴールへの行き方を調べるといった技術であり、第1次AIブームの研究によって生み出された新しいアルゴリズムは、知的な活動を行えるようになった。しかし、当時のコンピュータの性能はまだ低く、ルールとゴールが厳密に決まっている枠組の中でしか動けなかった。そのため、現実の世界では全く役に立たないことがわかり、第1次AIブームは終幕を迎えることになる。

第2次AIブームは、1980年代、家庭にコンピュータが普及したことにより発生した。当時の特徴として挙げられるのが「エキスパートシステム」である。これは、専門家の知識をコンピュータに教え込むことで、現実の複雑な問題をAIで解かせることを試みたシステムである。当時は第1次AIブームに比べ、コンピュータも小型化、高性能化が進み、ある程度の試みは成功した。しかし、知識を教え込む作業が非常に煩雑で、例外の処理や矛盾したルールへの対応が出来なかった。これらを解決する手段として「機械学習」、「ディープラーニング」が研究されていたが、実用化するためにはコンピュータの性能が追いついておらず、第2次AIブームは消滅することになる。

そして、2000年代に入り、さらなるコンピュータの小型化、性能の向上に加え、インターネットの普及、クラウドでの膨大なデータ管理が容易となったことにより、第3次AIブームが起こった。このブームの大きな要因なったのが「ディープラーニング(深層学習)」である。2006年にディープラーニングの実現手法が登場し、大量のビッグデータを検索させる手法に変化し、2010年頃からは機械学習の技術が進歩した。2016年は、ディープラーニングを起爆剤としたAIが社会に衝撃を与えた年、2017年は、実用的なシステムが世の中に登場し始め、「AI元年」と呼ばれており、現在も第3次AIブームが続いていると言われている。

製造業におけるAI活用の課題

製造業においては、産業用ロボットにAIを活用することで、ロボットの学習時間を大幅に削減し、さらなる効率化を図ることができたり、工場内の設備の予兆保全、製品の外観検査、作業者の動線分析による作業効率化など、AIの用途は拡大している。

しかし、AIが工場の自動化、生産の効率化が完全に実現するわけではない。また、AIをどの企業も容易に導入できるというわけではない。それは、AIはデータを基に判断することになるため、まずは判定基準を作るために精度の高いデータを大量に準備する必要がある。まずは、画像を大量に集めるための環境を整えなければならず、その上で、精度の高いデータをどれだけ集められるかも重要となる。

特に、製品の外観検査においては、微妙な差によって良品、不良品の判定がわかれる。現在は、熟練した検査員による検査がほとんどであり、AIを活用した検査の自動化は始まったばかりである。しかし、人によって行われる微妙な正否判定をAIで自動化するには、その基準となるデータを大量に集め、学習させていかなければならない。特に不良品のデータを大量にAI判定するメーカーに提供するということは、ユーザーにとってもリスクが高い。また、その判定が検査員よりも優れていなければ、自動化を実現したとしても製品の品質を下げることにつながってしまう。

EY総合研究所による予想では、AIの市場規模は、2015年の3.7兆円から、2020年に23兆638億円、2030年に約87兆円に成長すると予想されており、今後もますますAIビジネスは進化、発展していくことになるだろう。また、2045年にはAIが人間を超えるかもとまで言われる。しかし、現在においては、作業の効率化、高度化を図るためにはAIだけに頼るのではなく、人間の力や知恵が必要である。