11月1日から6日までの6日間、東京ビックサイトにおいて、世界最大級の工作機械見本市「JIMTOF2018(第29 回日本国際工作機械見本市)」が開催された。6日間の来場登録者は15万人を超え、過去最高を記録し、盛況のうちに幕を閉じた。

キーワードは「つなぐ」

今回のJIMTOFは、「つなぐ」をテーマに行われた。これまでのJIMTOFは、工作機械や鍛圧機械、機械工具、研削砥石、歯車・歯車装置といった周辺機器の最先端の製品、技術を展示、紹介する総合見本市と位置付けられていた。もちろん、今回もそれらの技術や製品は数多く見ることができたが、それだけにとどまらず、工作機械や周辺機器をどのように“つなげる”かを、訴求する企業が増えてきた。

ウェブメディアによると、JIMTOFで「つなぐ」ことに注目が集まったのは、前回の2016年からだという。それ以前も、工作機械では3G回線などを使った稼働状態の見える化などの取り組みは進んでいた。しかし、JIMTOF2016でファナックが、同社の展開する工場用IoT基盤「FIELD system」を使い、JIMTOFに出展した機械メーカー80社の工作機械をつなぎ、稼働状況の見える化を展示したことで、工作機械業界にも「つなぐ」ことの動きが見られるようになった。

JIMTOF2018では、「IoT オープニングディスカッション」として、日本工作機械工業会(以下:日工会)会長の飯村幸生氏、日工会 副会長の稲葉善治氏、インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(以下:IVI*1)理事長の西岡靖之氏、ベッコフオートメーション(以下;ベッコフ)代表取締役社長の川野俊充氏、経済産業大臣政務官 石川昭政氏が登壇し、つながることの目的や出展企業の取り組み、経産省が目指す「コネクテッドインダストリー」の最近の施策などについて意見を交わした。

   左から:ベッコフ 川野氏、IVI 西岡氏、経済産業大臣政務官 石川氏、日工会 会長 飯村氏、日工会 副会長 稲葉氏

今回のJIMTOFが初めて出展となったベッコフの川野氏は、「さまざまプラットフォームが登場し、つながるハードルは下がってきており、スムーズに、当たり前につながるステージに入っている。今後は、つながることが前提でどういった価値を作るかが問われており、設備だけでなく、ライン、工場、業界を超えてつながることで、本当の価値が出る」と、つながった先の価値を創ることの重要性を訴えていた。また、IVIの西岡氏は、「現場データの中で、協調領域でオープン化できるものは、プラットフォームを越えて活用できるようにしたい。これまでも取り組みを進めているが、2019年2~3月頃には完成する計画である」と、今後の製造業の姿について語っていた。

*1 IVI:ものづくりとITの融合による新しい製造業のプラットフォームのために必要となる共通基盤を構築することを目的に2015年6月に設立。ドイツの「インダストリー4.0」や米国の「Industrial Internet Consortium(IIC)」に次ぐ、日本の次世代工場を、現場目線から構築することを目指している。

会場をひとつの工場に

さらに、「つなぐ」を体験できる企画として、IoTプラットフォームを活用し、主催である日工会の会員企業72社、約300台の機械をつなげた。そして、各機械の稼働状況等を大型モニターに表示することにより、会場である東京ビッグサイトをひとつの“スマートファクトリー”に見立て、「見える化」の価値を訴求するプログラムを実施した。

こうした取り組みについて、日工会 稲葉副会長は「つなぐというのは目的ではなく既にできていることだ。見える化から知能化、スマートファクトリーへと発展させていかなければならない」と述べている。また、同会の飯村会長は、つなぐ目的について「IoTでは、どのようにつなげるかの『How』、つなげて何をするかの『What』の2つのレイヤーがある。“つなぐ”と言うと、『How』の観点で語られることが多いが、重要なのは『What』である。日工会としては、『What』に早く進めるように取り組んでいく」と語っており、今後、さらに工作機械業界の「つなぐ」動きは加速していくことがうかがえる。

さらに“つながる”ためには

しかし、製造現場における“つながり”を実現するためには、まだ課題がある。ウェブメディアでは、前述のディスカッションに登壇した経産業大臣政務官の石川氏から、「オープン化の流れの中で協調領域を拡大していくことが重要であり、その支援として、2018年6月に『生産性向上特別措置法』を施行し、国の保有するデータを活用できる枠組みなどを作っている。しかし、いまだに1社も認定を受けておらず、より多くの企業の参加を期待している」と呼びかけたことを紹介している。また、ベッコフの川野氏も、インダストリー4.0などで先行しているドイツでも、「つなぐのは難しく、技術的な課題などがあると認識されている」と現状を述べている。

これまでのIIoT Timesでも、製造現場において“あらゆるものがつながる”ことの重要性や必要性を伝えてきたが、さらにつながるためには、企業のみならず国も一体となって取り組んでいくことが求められている。