11月1日から6日までの6日間、東京ビックサイトにおいて行われた世界最大級の工作機械見本市「JIMTOF2018(第29 回日本国際工作機械見本市)」では、国内外の企業・団体が1,000社以上も出展した。6日間の来場登録者は15万人を超え、過去最高を記録し、盛況のうちに幕を閉じた。

IIoT実現に向けた各社の“つながる”システム

今回のJIMTOF2018において、特に注目を集めたのは、工作機械やその周辺機器を“つなぐ”ことであった。前回の「IIoT特集」では、「IoT オープニングディスカッション」やIoTプラットフォームを活用し、日本工作機械工業会の会員企業72社、約300台の機械をつなげた「企画展示」について紹介した。今回の「IIoT特集」では、JIMTOF2018に出展した各社の“つながる”システムを紹介する。 これらは“つながる”システムは、特に注目を集め、産業紙やウェブメディアなどでも紹介された。

東芝機械では、IoTを活用した新たな価値の提供に向けて「IoT+m」というコンセプトを打ち出した。「m」には「manufacturing」、「machinery」、「maintenance」、「monitoring」、「mind」の意味が込められているという。その「IoT+m」を具現化するIoT基盤としてJIMTOF2018で打ち出したのが、「machiNet(マシネット)」である。マシネットは、同社製の各種機械からの情報をデジタル化して収集する。必要に応じて、新たに取り付けたセンサー情報なども合わせて収集が可能で、機械の稼働状況や異常情報などを把握することができる。そのため、遠隔地からの稼働監視や、ログの記録が可能となり、改善などに使えるというメリットがある。

村田機械では、さまざまなIoTプラットフォームとつなげる「ムラテックIoTソリューション」や、工場をスマート化するためのIoTやAI(人工知能)の関連技術を披露した。「ムラテックIoTソリューション」は、ファナックが展開する「FIELD system」、三菱電機やオムロン、日立製作所などが参加する「エッジクロス」、シーメンスが提供する「MindSphere」といった、工場で用いられるIoTプラットフォームとオープンにつながることを想定している。その上で、工場の現場で用いられているCNC装置の通信データを工作機械向けのオープン通信規格「*MTコネクト」に変換し、扱いやすくするための取り組みも進めている。
*MTコネクト:MTコネクト協会が標準を定めた工作機械向けの通信プロトコル。デバイスやアプリケーションのデータ取得機能の強化、統合コストの削減を目指し、米国を中心に、既に多くの大手メーカーが採用している。

ジェイテクトは、同社が推進するスマートファクトリーコンセプト「IoE(Internet of Everything)」を体現する「人」に向けた新たなソリューションを出展した。同社では、IoTの活用において、「モノ(Things)」だけをつなぐのではなく、人やサービスまでもつなげていくという考えのもと、「IoE」を推進しており、スマート工場の実現に向けても、IoEを活用した取り組みを進めている。そして、11月1日に販売を開始したのが、人のスキルアップに貢献する「スキルアップNAVI」シリーズであり、「作業遂行分析アプリ」、「問題解決リレーアプリ」、「改善データベースアプリ」の3つのアプリケーションをリリースした。「作業遂行分析アプリ」は、スマートフォンアプリで作業の開始と終了時間を記録し、個人の作業時間を簡単に計測できるようにした。このデータを集計し、個人の強みや弱みを見える化し、個人の成長促進や人材育成、人員配置などの組織管理に活用する。「問題解決リレーアプリ」は、工程などの課題について、個人の気付きをシェアし、改善活動につなげることを支援する。

ヤマザキマザックは、米シスコシステムズと共同開発のクラウドプラットフォームを活用し、工作機械の稼働状況の把握や保守、加工などを総合的に支援するIoTサービス「Mazak iCONNECT(マザック アイコネクト)」を、2019年4月から提供開始すると発表した。顧客と工作機械をより密接につなぐ同サービスの提供により、新しい価値の提案や充実したサポート体制を訴求する方針だ。このサービスは、自社と顧客先の工作機械を高速・大容量回線でつなぎ、クラウドを通じて工作機械を常に最新の状態で更新できる。また、加工支援のソフトウェアを配信し、生産性を向上。数値制御装置の加工プログラムなどのデータはクラウド上にバックアップし、安全に管理できる。

ウェブメディアによると、ヤマザキマザックの“つながる工作機械”開発の歴史は長く、1998年に業界初となる工作機械のテレフォンサービスサポートを開始、2004年には3Gセルラーネットワークを利用し工作機械と同社サポートセンターを接続する保守管理サービスの提供を始めた。また、同社とシスコシステムズは、2016年に工場向けセキュリティー機器を共同開発しており、今回は協業第2弾となる。

参加企業が増える「エッジクロスコンソーシアム」

以前の「IIoT特集」で、つながる工場を実現するため、工場内の現場情報を上位の情報システムと簡単に連携できるようにする「エッジコンピューティング」を紹介した。そして、2017年11月、日本発のエッジコンピューティング領域のソフトウェアプラットフォーム「Edgecross(エッジクロス)」の仕様策定や普及推進を目的に、三菱電機、NEC、日本IBM、日本オラクル、オムロン、アドバンテックの6社が幹事となり「エッジクロスコンソーシアム」を設立したことを取り上げた。

工場はつながっていく

同コンソーシアムは、会員数が計画以上のペースで増加し、2018年10月時点で208社を超えた。参加企業は工作機械、産業用PC、ソフトウェア、自動車部品、飲料などの各メーカーや、SIer、エンドユーザー、商社など様々である。また、2018年度中には300社以上の会員加入を進め、中国、台湾など海外での展開も検討しているという。

工場内を“つなぐ”ためのシステムは、さらに増えていくことになると考えられる。そのため、今後は、つないだ先にある付加価値をどのように提案できるかが、企業の生き残れるかどうかの重要な鍵となる。