USB3 Visionは、国際標準化団体であるAIA(Advanced Imaging Association)が中心となり、USB3.0の特長を活かしながら、産業用途で求められる通信仕様を盛り込み、2013年1月に正式に承認された標準規格である。PC周辺機器として広く搭載されるUSB3.0の規格のひとつとなっており、産業用カメラにおいても中心的なカメラインターフェースとして幅広い用途に採用されている。

USB3 Visionのメリットについては、図1の比較表で示すように、実効値として約350MB/secもの高速データ転送ができる点が挙げられる。これは、GigE Visionの約3.5倍であり、CameraLink Baseを凌駕している。一方、DMA転送を実装しているためCPU負荷が非常に低い上、信号の安定性能も優れており、電気的・規格的に安定していると言える。また、USB3 Visionカメラではリアルタイム性能が高く、トリガー入力に対する応答性能もCameraLinkと比べ遜色ない。システムコストとしては、専用の画像入力ボードが必要ないため、CameraLinkに比べ大幅なコストダウンを実現できる。

図1 カメラインターフェース比較表

図2では、USB3 Visionの採用が進んでいる製品カテゴリとその特徴をまとめた。表を見ると、規格のメリットを活かした様々なアプリケーションに採用されていることがわかる。

図2 USB3 Vision採用アプリケーションとその特徴

USB3 Vision規格対応のカメラを製造しているドイツのBasler社では、カメラに独自技術の画像補正機能PGIを搭載し、CPUに追加の負荷をかけることなく画質の向上を図っている。その特徴として、以下の4つが挙げられる。

カラー変換(デべイヤリング)

ベイヤーセンサーでは、1つのピクセルにつき1つの色のみが配置され、RGBカラー画像へ変換する時に「色補間」と呼ばれる方法で隣り合うピクセルから不足している色を予測してカラー値を算出する。この時、従来は2×2のピクセル範囲で分析をして色補完を行うが、PGIのデベイヤリングアルゴリズムでは、5×5のピクセル範囲で色補完を行うためエッジが綺麗に再現される。

左図:2×2のフィルター、右図:5×5のフィルター

カラーアンチエイリアス

カラーカメラにおいては、上部の様にエイリアスが発生し、黒白の模様にオレンジと青色がにじんだような映り方をする。カラーアンチエイリアスを使うことによりエイリアスが抑えられ細部まで正確に撮像が可能である。

上図:カラーアンチエイリアス無し、下図::カラーアンチエイリアス有り

シャープネス

対象物を高解像度で表示する場合、ベイヤーマトリックスを使用するカラーカメラでは、上記のカラーエイリアシング効果だけでなく、画像のシャープネスの面でも問題が発生することが多々ある。 PGIでは対象物に合わせて線形補間アルゴリズムを調整することにより、モノクロカメラに匹敵するシャープネスの高さを実現している。

右図:シャープネス適用後

ノイズ除去

通常、生画像からカラー画像が生成されるまでには、多くの計算処理が行われている。これら一つひとつの計算処理が連続して行われることにより、計算と計算の間でノイズが指数関数的に増加し、ノイズが大幅に増幅されてしまうことがある。

右図:ノイズ除去適用後

PGIではそれぞれの処理を連続して行うのではなく、並行して行うようにすることでノイズの増幅を押さえる仕組みになっている。 また、個々の計算処理がノイズレベルを低い状態に維持することを最優先するように設計されている。そのため、PGIで生成した画像は常に低ノイズで見やすいものに仕上がる。

ユーザーが産業用カメラを選定する上で重要なポイントとして、市場導入される革新的なセンサーを如何に短期間でカメラに搭載できるかという点が挙げられる。USB3 Vision 規格は、専用の画像入力ボードを必要としない安価かつ安定性の高い汎用インターフェースでもあり、今後も業界標準として広く活用されていくことは確実である。